ナケミン キィートス

株式会社 環境デザイン研究所(名古屋) 山田 達樹

 ヘルシンキから帰ってから、フィンランド協会の早川先生に帰国の報告をし ましたところ「どうだった!」とたずねられました。「退屈してきました!」と 答えると「素晴らしいじゃない。退屈なんてしようと思ってもなかなか出来るも んじゃないわよ。」と、返ってきました。なんと素晴らしい言葉なのでしょう。 いかにもフィンランドを知り尽くし、又、フィンランドを心より愛されているか が、その言葉で分かるというものです。

 何回目かは忘れちゃいましたけれど2年ぶりの今回の訪問は、6月の下旬に オーストリアのウィーンから空路AYでストックホルム経由でヘルシンキに着き ました。途中上空から見える海岸線の美しさは、毎回感嘆するばかりで、自然の かもしだす造形美には何か神秘的なものさえ感じます。

 いつも同じ様に、飛行場には知人が迎えに来てくれていました。今回はヨル マだけです。時間の都合のつく時には彼の女房のヒルッカ、そして娘のロッタ、 息子のヤッコの全員が来てくれます。
以前は日本人なんてほとんど見かけることのなかったここバンターの飛行場も 、最近はとても数多くの日本人観光客に出会います。「いやだなあ。」と感じる 私は、“イヤな奴”なのでしょうか?。この日は特に一番多くいたのが日本人観 光客でした。旅慣れた人達が北欧に足を延ばし始めたとは数年前から耳にしては いましたが、このような急速な利用客の伸びには驚かされます。以前、日本人の 観光客はすごいね、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーと1日ずつで旅し てしまうんだよね、あんなに遠い所から来てたった1日ずつなんてとても信じら れない。と誰からか聞いたことを思い出しました。

 ヨルマ達一家は最近子供達の成長と共にバンターからここ市内のLISAN KATUのアパートに引っ越して来ました。大聖堂の見える駅からも歩いてこれ る閑静なアパートです。工科大学に行っている息子のヤッコに、ロッタはこの秋 ヘルシンキ大学を卒業出来るみたいで、早くも就職と結婚のことで頭が一杯の様 子です。そういえばヨルマとヒルッカもヘルシンキ大学在学中の学生結婚だった とか。その数年前に私はヒルッカとストックホルムのコンサートホールで出逢っ たのでした。

 あれからもう27年の月日が経ちました。当時私はストックホルムの設計事 務所で修行中、彼女は皿洗いなどをしながら大学入学の準備をしている、フィン ランドの田舎から出て来ていた女の子でした。あれ以来今日に至まで、こんなに 長い付き合いになるとは、お互い想像もしていなかったことと思います。当時ス トックホルムの設計事務所の社長であったアークビスト氏は現在、南スウェーデ ン、スコーネ地方のマルメに住んでいます。

 私は彼を今までに2回、日本に招待することが出来ました。私たちの暮らし ぶりや文化等を現実に知ってもらうことができ、より親密なコミュニケーション が図れたものと思っています。しかしながらヒルッカ達は、私が今までに何回と なく招待の提案をしたのですが、話にのってくれませんでした。旅費まで払って もらうことが彼等のプライドからしてみれば許せないことみたいでした。しかし ながら、来年の春には夫婦揃って日本に来てくれるというのです。勿論彼等は自 費で来るのですが、私にとって素晴らしいニュースでした。私は今度の誕生日を 最高の友達に祝ってもらえそうです。

次ページへ (このページを含めて全6ページ)