MIKIのゆくゆくあるいてフィンランド〜旅日記 

6月26日(水)雨
 ついにこの日がやって来た!今日は、フィンランドへの旅立ちの日。でも、 やはり今日も雨。私がしようと思う時は、いつもきまって雨なのだ。そしていつ もの母の一言は、「やっぱり雨やねー。」である。
 こんな日だって、私は出かける準備に手間取ってしまう。いつもそうだ。だ いたい、もうちょっと早く起きればよいのだろうが、もしも早く起きたとしても 、最後はやっぱり時間ギリギリになってしまう。時間が読めないと言うか、詰め が甘いと言うか、まぁつまり、のんびり屋なのだろうが..しかし今日は、こん な所で反省会のミーティングを開いている場合ではない。なんてったって、生ま れて初めて飛行機に乗って、海外に、しかも一人で行くのだから。送り出してく れる両親を、私は心から尊敬している。
 昨日の晩まで、スーツケースを20Kg以下にするために、かなり奮闘したの で(あとで、これがものすごい無駄な努力だったことに気つくのだが..)今日 はもう、「とりあえず、パスポートと、お金さえあれば、なんとかなる。」とい う気分だ。友達に言わせると、私がこの、「なんとかなる発言」をした時が、一 番危ないらしい。すべて、どうでもよくなるのだそうだ。本人は意識していない のだから恐い。

名古屋空港から、まずは成田までの飛行機の旅。予備練習みたいなものかな。 うちの家族らしく、あっさりとした別れをして(かっこいいのではなく、単に恥 ずかしがり屋なだけなのだが)機内に乗り込む。飛び立つ直前、なんだか急に恐 くなってきた。飛行機の恐さもあるが、語学コースでついていけるのだろうか、 フィンランドに行って一体この先どうするんだろう、とかいろいろ考えだしたら 、どんどん不安になって、あーぁやめればよかった。(涙..)なんて始末。ブ ルーな気分になっていたら、あっという間に成田。落ち込んでいる場合ではない 。国際線へ移動しなければ。 国際線へは、意外と簡単に移動でき、「どうにか なるさ。」と開き直ったら気分も落ち着いて来た。まったくいい性格だ。 フィ ンエアーにはムーミンの絵が描いてあり、機内も広くて、なんだか楽しくなって 来た。機内は快適。隣の女性は旅慣れた感じで、英語もお上手。いい人でよかっ たぁ。9時間後、フィンランドに到着!

 本当にフィンランドに来てしまった。日本は今、夜の9時頃だが、こちらは まだ昼間の3時なので明るい。なんだか得した気分。 シルッカ=リーサ、マリ =カイサ、アンナ=リーナ、そしてティモ=ペッカが空港で出迎えてくれた。4 人の顔を見ると、まだ日本にいるような感じがする。がしかし、ここはまぎれも なくフィンランドなのだ!!

6月26日 快晴 ヘルシンキ

 車が右側を走っている。住んでいる人にとってはあたりまえのことだろうが 、なんか変な感じ。しかも、昼間なのに、小さいヘッドライトをつけている。事 故を防ぐためらしい。つけているほうが、事故が少ないという統計結果が出てい るそうだ。良いことはすぐに取り入れるフットワークの軽さは、日本が見習うべ きところだ。

 今日お世話になるのは、ペッカのお姉さん、ラハヤの家。ラハヤも、ご主人 のオッリもとってもいい人達で、感激!息子さんの、ヤーッコとマッティは、2 人で大学のアパートに暮らしているので、普段は夫妻だけで暮らしているそうだ 。

 ラハヤが、夕食を用意して待っていてくれた。フィンランドと言えばやっぱ り、じゃがいも。ほくほくしていて、最高においしい。日本で食べていた味のな いじゃがいもが、なんだかにせもののように思えてくる。じゃがいもには、肉の 入った温かいソースをかけて食べる。このソースの種類はいろいろあるが、どれ もバターがベースになっている。味は、薄味。たいていの日本人なら、「ちょっ と塩ちょうだい。」と言ってしまうだろう。フィンランド料理は、どれもわりと 薄味である。あとは、サラダと、いろんな種類のチーズ。それらをパンといっし ょに食べる。フィンランドで食べられるパンの種類は、そんなに多くない。代表 的なのは、ルイスレイパーと呼ばれる、ライ麦パン。少し酸味があって、くせも 強いので、日本人には好まれないらしい。「私も大好き!」とは言い切れないが 、食べられない程ではない。食感は、イングリッシュマフィンに近い。(後にこ のルイスレイパーは、少しトースターで温めるとめちゃめちゃおいしくなるとい うことが分かり、それからはルイスレイパーの女になってしまった。)

 フィンランドでかかせないデザートと言えば、アイスクリーム。今が旬の苺 といっしょに食べる。あーっもぅお腹いっぱい。キートス!(フィンランド語で ありがとうの意味。ごちそうさまと同じようにも使う。) ラハヤが、近くの教 会まで散歩に行こうと言う。私も早く時差に慣れたいので、シルッカ=リーサ、 マリ=カイサ、アンア=リーナ達と一緒に出かける。ヘルシンキの中でもここは 郊外なので、静かで、人も少ないし、とってもきれいだ。家のデザインも、まる で絵本から飛び出したようなものばかり。どの家にも、花がたくさん植えてある 。想像以上の美しさに、ためいきの連続だ。でも帰りは、急などしゃぶりの雨で みんなびしょぬれ。でも、それもなんだか楽しい。

 家に帰ると、サウナが私達を待っていた。初めてのサウナ!フィンランドの サウナは、熱した石に水をかけ、水蒸気を出して暖める方法をとっている。家庭 用はたいてい電気式(タイマー付き)だが、夏小屋では薪を使うことが多い。こ の薪サウナが一番最高だ、と誰もが言う。木の香りで、心の底からリラックスで きるらしい。いつか、体験してみたい。
 サウナの入り方は、まず、シャワーで体を濡らして、そのままサウナ室へ。 中は、野球場のベンチのように段々になっている。ベンチも壁も木で作られてい るのがとてもいい感じ。2段になっていて、当然上の方が熱い。石に水をかける と、一瞬、ジュッという音がして、次の瞬間差すように熱い蒸気が、上から降り てくる。でも一瞬なので息が苦しくなるようなことはない。日本のサウナは苦手 だが、これなら大丈夫。いっぺんにサウナのファンになってしまった。サウナの 中には、たいてい温度計がついている。60度、70度、さらに水をかけ続けれ ば100度以上にまであがるが、気持ちの良い熱さだ。ちょうど日本の温泉に入 っている時の気持ち良さに似ている。この温度に関しては、何度まで耐えられた かを競うこともしばしばあるらしい。
 熱くて耐えられなくなったら、外へ出て冷たいシャワーを浴びたり、いすに 座ったりして休む。夏小屋では、この時に外へ出て、そのまま湖や海で泳ぐ。こ れがまた最高らしい。水着はつけたり、つけなかったり。そんなことを気にして いる場合ではないらしい。冬は、雪の上で寝転がって、一目散にサウナへ戻るな んてこともする。この感覚、すごすぎる。 こうして、熱いの、冷たいのを繰り 返していると、体の芯から暖まり、疲れもとれる。この日はサウナのおかげで、 翌朝までぐっすり眠れた。

6月27日(木)
 郵便局で、円からフィンランドマルッカへ両替。銀行の方が得らしいが、と りあえず少しだけマルッカに変えておく。でも、日本にいる時は、お金をどう持 って行くか結構悩んだ。なにせフィンランドに関しては情報が少なすぎるので、 すべてが疑問だったのだ。しかし、来てみたら、とっても暮らしやすい。円も簡 単に両替できるし、スーパーもたくさんあって、レジではカードも使えるのだか ら。

 今日は、マリ=カイサとアンナ=リーナと一緒にヘルシンキの街へ。バスは 、7マルッカ(約180円)で1時間乗り放題。車内は、日本のようなアナウン スがないので静か。時々人の話し声がする程度。運転手は好きなラジオを勝手に かけて自分だけで聞いている。なんだかのんびりしてていいなぁ。
 ヘルシンキのバスは、車椅子に乗った人や、ベビーカーに子供を乗せている 人が乗る時には、真ん中の扉が開き、車体が斜めに下がる。こうすることによっ て、とても乗り込みやすい。もともとバスの中には階段がないのだが、それに加 えて、車体まで下げるなんて、さすが福祉国家。たとえ少しの角度だとしても、 その少しが利用者にとっては大きいのだ。さらに、ベビーカーをひいている人は 、運賃を払わなくてもいい。これには驚いた。

  20分程で、街に到着。さすがに人が多い、と言ってもやはり他の国の都 市に比べれば、少ないのだろうが。

 夏の間は、トリ(日本の朝市場のようなもの)が開いていて、おいしそうな 野菜や、果物、魚、トナカイ製品、マット、木製品、花などあらゆるものが売ら れている。お昼には、ここで多くの人がコーヒーを飲みながら食事をする。一緒 に食べるのは、レルットというクレープにジャムをはさんだものや、ピーラッカ パイという餃子の皮のような生地の上に、じゃがいも、玉子などをのせて焼いた もの。特にカレリアンピーラッカにはごはんがのっている。そしてプッロという 菓子パンなど。フィンランドには日本のようなちょっとした喫茶店が少ないし、 もしあったとしても高いので、食べ物はトリで買って、港で海を眺めたりしなが ら食べるのが手っ取り早い。トリでは、けっして物価が安いわけではないのだが 、コンビニなどないこの国で、ちょっとだけすぐに食べたい時は便利である。私 の大好物は、サブカラ。スモークされた魚だが、これが魚好きの私にとっては最 高。海で獲ったものもあるが、湖で獲れた、小さいものもある。湖のものは、川 魚に似て、味は淡白。こんなおいしいものを教えてくれたアンナ=リーナ、キー トス! のどが渇いたら、苺を食べる。自動販売機はないし、トリのジュースは ちょっと高いのだ。自動販売機がないのには、初め少し不便だと感じたが、だか らこそ街がこんなにきれいなのだと分かって、不便だなんて感じた自分が恥ずか しくなった。キオスクというコンビニのような所があちこちにあって、そこで飲 み物が買える。もちろん、紙パックか瓶入りで。空き瓶のリサイクルは、本当に 定着している。誰でも気軽に近くのスーパーなどでお金に換えられるのだ。


 今夜ももちろんなかなか太陽は沈まない。私が、「こんな時間なのにまだ明 るいね。」と言うたびに、「そうだよ。」とオッリがうれしそうに答えてくれる 。

6月28日(金)
 今日から三日間、ヴィヒティでフィンランド・ルーテル福音協会の宣教師大 会があって、フフティネン一家がそれに参加するので、私も連れていってもらう 。ラハヤとオッリにお別れをする。たった二日間だったけれど、私はこの二人の ことが大好きになっていたので、少し寂しかった。でも、ヴィヒティでまた会え るらしい。よかった。

 3時間かかってようやくヴィヒティに到着。今日からは、フフティネン一家 と一緒にロッジのような所に泊まる。平屋一軒の建物の中に、四つの二人部屋が あり、キッチン、シャワー、そして2つの共同トイレ。外見は古いが、中はとて もきれいで、みんな感激。この家には、私達の他に二人の女性が泊まっている。 友達同士で来ているのだそうだ。

 夜は教会へ、コンサートを聴きに行く。教会専属の合唱団や弦楽合奏団があ ることに、ここがヨーロッパであることを実感する。日本ではまだまだ西洋音楽 が根付いておらず、日頃はがゆい思いをしている私にとってはうらやましい。日 本では、音楽大学を卒業してもその技量を生かせる場が本当にまだまだ少ないの だ。

6月29日(土)
 一年に一回毎年場所を変えて、このような大会が開かれており、開催地とし て選ばれると、そこの地元の人々はとても喜ぶそうだ。一年に一度久しぶりに友 人と再会する場所でもあるので、年齢を問わずみんな楽しくおしゃべりをする。
 ここの宣教師団体から日本へたくさんの宣教師を送っているので、日本へ行 ったことがある人が多い。こっちがフィンランド語を話そうと気合いを入れて構 えていても、「こんにちは。」とこられるので拍子抜けしてしまう。でもそうい う人は、本当にみんな日本語がとても上手だ。そしてみんな「日本が好きです。 」と言う。こんなに遠い北の国の人々が、日本を愛し、日本語を話し、日本のた めに祈っているということを知っている日本人がどれだけいるのだろうか。
フィンランド人は自分たちの国を愛し、誇りをもっている。それはきっと今ま でのつらい歴史によるものだろう。独立してからやっと80年が経とうとしてい る。そういう人々だから、他の国も愛せるのだろう。 私は、日本を愛している だろうか・・・

 午後、シルッカ=リーサが日本展へ行くというので、私も一緒に行く。日本 展は、日本の文化が紹介されており、私も少し折り紙のデモンストレーションを したり、会場の皆さんと一緒に折ったりした。入り口には「日本語であなたの名 前を書きましょう!」コーナーなんていうのもあって、ケンさんという人が毛筆 で書いていたが、自分の名前を書いてもらった子供達は大喜びしていた。ケンさ んは、フィンランド人の奥様とフィンランドで暮らしているそうだ。
 日本展で、サヴォンリンナでお世話になるアウネおばさんと会った。無口な 方だったのであまりしゃべらなかったが、「どうぞいらしてください。待ってい ます。」と言って下さった。フフティネン一家と別れて、一人立ちする日が近い のだなと思うと、やはり不安だ。まだ、まともなフィンランド語も話せないし。 あーぁ、大丈夫かなぁ・・・

 他には、大津の「日本フィンランド学校」で友達になったスサンナやタイナ との喜びの再会もした。

6月30日(日)
 今日はヴィヒティでの、最終日。朝の礼拝に私も参加する。礼拝後、フフテ ィネンさん達の友人のクッレルヴォさんに会った。うわさどうり、とても優しい 人で感激。彼は、私がフィンランドで民族音楽を学ぶ事についてアドバイスして くれた人だ。とても忙しそうだったので、カウスティネンでの民族音楽フェステ ィバルで会う約束をして早々に別れた。 

 午後は、フフティネン親類一同が集まった。毎年このように集まるらしい。 私は日本のお正月を思い出してしまった。ラハヤや息子さんのマッティにも再会 できてうれしかった。

 夕方にはヴィヒティを出発。次なる目的地は、キウカイネン。今日は、ペッ カのお兄さんの家に泊まらせていただくのだ。5人乗りの車に6人ものって、し ばし窮屈な旅である。なぜなら、この車は家族5人でちょうどのサイズなのだ。 今日は私一人分多いので、後ろの座席は大パニック!あぁ〜、マリ=カイサ、ア ンナ=リーナ、ティンペ、ごめんね。

 夕方なのに、白夜のおかげで気分も焦らずゆったりしている。不思議な感覚 だ。日が暮れることで、何となく急いだり、気ぜわしくなるといったことは不要 なのだ。こんなことにも気持ちの豊かさのようなものを感じることができるんだ なぁ、と新たな発見である。

 さて、車内大パニックの末、やっと到着。ペッカのお兄さんは牧師さんで、 教会の近くに住んでいる。今は奥さんとオーランド諸島をクルージングしている らしい。なんて素敵な過ごし方なんだろう。うらやましい!
 
 今この家には、2人の息子さんと、教会のために働いているボランティアの 人が1人いる。2人の息子さん達も、朝から近所でボランティアとして働いてい る。例えば乳搾りとか、草刈りとか。それがごく自然なことになっているところ が、素晴らしいと思う。格好よりも、実践!私も彼らを見習おう。

 教会を少し見せてもらった。普段は鍵がかけてあるので、長男のミーッコが 開けてくれた。天井は水色で、たくさんの星が描かれている。木造で、結構古い 建物だ。素朴で、独特のあたたかさがある。鐘の塔からは、周りが見渡せて本当 に気持ちいい。パイプオルガンも少し弾かせてもらった。なんていい音だろう。 あまりの心地よさにしばらくぼんやりしてしまった。とても心が落ち着く。

 ここのお宅には地下にサウナ室があって、息子さん達が私達のためにサウナ を温めておいてくれた。久々のサウナに大感激。感謝して、サウナでゆっくりと くつろがせてもらった。そのおかげで今日もぐっすりと眠ることができそうだ。 キートス。

(次回に続く)


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